シドロモドロな日記 〜小説とかエッセイとか〜

【感想002:恩田陸:ユージニア】

【恩田陸】ユージニア

 あらすじ
  青澤医院で起こった無差別の毒殺。家人で唯一生き残ったのは目の見えない少女だった。長編。

 感想
  ぞくっとする。静かな文章の連なりが独特の調子を生み出して、読んでいる方の心を揺さぶってくる。僕は急かされるようにして読んだ。これは焦燥感に近いかもしれない。古い町のきれいな青沢邸で起こった謎の毒殺事件。このユージニアの雰囲気が好きだ。すべてをうやむやにしてしまう蜃気楼のようなこの雰囲気は散文詩のようだ。好きなセンテンスを反芻する度にもっと好きなって、しっくりと馴染んでくる。僕はユージニアが好きだ。
 ただ、これはミステリじゃないと思う。ミステリっぽい何かだ。でも、読者を惑わすくらいのことはやってのける迫力はある。読んでいて事件の謎を追って焦燥していく登場人物たちの霊を感じる。

 恩田陸さんのたくさんある作品の中でもユージニアが一番光って見える。恩田さんの作品は他にも読んだけれど、中でもユージニアはすごく印象に残ってる。それだけ優れているということだと思う。できれば文庫版よりもハードカバー版のほうが雰囲気が出て良い。雨の日とかに読むと尚良い。

 ……雰囲気小説って言い切ると悪口になりそうなのでやめておく。でも僕の中では雰囲気小説の代表だ。好きだ。

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