【穂村弘】 本当はちがうんだ日記

あらすじ
歌人・翻訳者・エッセイストの穂村さんが書くウフフ日記。おもしろい。
感想
本当はちがうんだ! 僕はこんなやつじゃないんだ! こんな人生じゃないんだ!
そういう儚い叫び声が聞こえてくる日記。
で、日記の内容を一段落だけ引用してみる。
先日、上野駅のトイレに入ろうとしたら満員だった。全部の便器がふさがっているのをみた瞬間に、だめだ、と思う。私にはその後ろに並んで待つことができないのだ。くるっと振り向いて引き返そうとした私を、ちょうど入ってきたおじさんが手で遮って、ほら、空いたよ、とひとつの便器を指さした。胸が熱くなって涙が出る。おじさん、優しいおじさん。ぼく、ぼく、あだ名がないんです。
穂村さんはあだ名というものを一種のペルソナであると捉えているようだ。そのペルソナのおかげで、他の皆はトイレの行列に並ぶことができるし、音痴でもカラオケで熱唱することができると、そういう風に考えている。
なにかの失敗を犯しても、『恥』を塗るようなことがあっても、それはあだ名を持つ人からすれば自分のペルソナが汚れるだけでその本人は実のところまったくの無傷であり、清潔でいることができるのだとそう言っている。
穂村さんは自分はあだ名がないからどんどん自分が傷つき汚れていくんだ! と、そんなことを叫んでいる。それが面白い。
穂村さんは日常のささやかな一場面をくりぬいてきて、そこに人間味を見出すプロフェッショナルだ。短歌をよくながむので、そういうことが得意なのだと思う。
この本を読んだ人はちょっとだけ元気になれる。そんな気がする。
応援する!



あらすじ
歌人・翻訳者・エッセイストの穂村さんが書くウフフ日記。おもしろい。
感想
本当はちがうんだ! 僕はこんなやつじゃないんだ! こんな人生じゃないんだ!
そういう儚い叫び声が聞こえてくる日記。
で、日記の内容を一段落だけ引用してみる。
先日、上野駅のトイレに入ろうとしたら満員だった。全部の便器がふさがっているのをみた瞬間に、だめだ、と思う。私にはその後ろに並んで待つことができないのだ。くるっと振り向いて引き返そうとした私を、ちょうど入ってきたおじさんが手で遮って、ほら、空いたよ、とひとつの便器を指さした。胸が熱くなって涙が出る。おじさん、優しいおじさん。ぼく、ぼく、あだ名がないんです。
穂村さんはあだ名というものを一種のペルソナであると捉えているようだ。そのペルソナのおかげで、他の皆はトイレの行列に並ぶことができるし、音痴でもカラオケで熱唱することができると、そういう風に考えている。
なにかの失敗を犯しても、『恥』を塗るようなことがあっても、それはあだ名を持つ人からすれば自分のペルソナが汚れるだけでその本人は実のところまったくの無傷であり、清潔でいることができるのだとそう言っている。
穂村さんは自分はあだ名がないからどんどん自分が傷つき汚れていくんだ! と、そんなことを叫んでいる。それが面白い。
穂村さんは日常のささやかな一場面をくりぬいてきて、そこに人間味を見出すプロフェッショナルだ。短歌をよくながむので、そういうことが得意なのだと思う。
この本を読んだ人はちょっとだけ元気になれる。そんな気がする。
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