あらすじ
なんと会話文のみで構成されたユーモアたっぷりの短編小説集。世にも奇妙な物語でドラマ化もされた名作「四十四年後の証明」も収録。
感想
知っているだろうか、十年以上前に世にも奇妙な物語で
「2040年のメリークリスマス」というロマンチックSF恋愛ドラマが放送されたことを。
僕はこの夢人さんの原作よりもドラマの脚本の方がロマンチックで好きなのだけれど本のレビューということで原作の方を紹介しておく。
この「もつれっぱなし」には6篇の話が収録されている。目次を引用してみる。
目次
宇宙人の証明
四十四年後の証明
呪いの証明
狼男の証明
幽霊の証明
嘘の証明
これが全部男女の会話だけで進行していく。地の文は一切ない。この徹底した取り組みの姿勢がなんとも潔い。活字嫌いの小学生だって苦もなく読めるはずだ。
僕はこういう面白い試みが好きだ。会話文だけと書くと、まるで手抜きのように思われるかもしれないが決してそうではない。実に流暢にユーモアを織り交ぜて男と女の会話が進行していく様は不思議なくらい気持ちのいいものだ。無理なくつなげられた二人の会話を読んでいると思わず「上手い!」と唸ってしまう。話の結末も予想のつかないトリッキーなものが多い。というか、そもそも話のアイデア自体がすでに面白い。
読者の想像を駆り立てる締めのある終わり方は決していい加減な仕事ではない。プロの仕事だ。その妙技が味わいのあるカプチーノのような読後感をうんでいるのだ。
井上夢人さんの本はこれを含めて三冊ほど読んだけど、この「もつれっぱなし」が一番面白いと思った。僕が短編小説が好きなのもあるけれど、やはりドラマ化された「四十四年後の証明」の存在が大きい。小学生の頃に見たあのドラマの強烈な残像が十年経った今でもくっきりと眼の裏に焼きついている。これを読むとドラマ化された理由がはっきりとわかる。とても切ない話でいつまでも心に残るめずらしいロマンチックSF作品だと思う。
いままで読んできた短編小説の中でも僕の一押しが「2040年のメリークリスマス」こと「四十四年後の証明」だ。ほんとうにお勧め、イチオシ。
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『もつれっぱなし』は試みだけでなく、内容も素晴らしいですよね。地の文なしで状況を説明する筆力にも脱帽しました。
「四十四年後の証明」もよかったんですが、ボクは「宇宙人の証明」が好きでした。宇宙人だと認めつつ(?)、話をまるくおさめた展開がよかったです。
「2040年のメリークリスマス」は萩原聖人が出てた話ですよね?ロマンチックでよかったですよね^^
うたう | URL | 2008年03月08日(Sat)15:09 [EDIT]
宇宙人の証明
二つもコメントして貰えてもう(o゜ω゜o)ほくほくです。ありがとうございまーす!
夢人さんは怪奇小説的なストーリーを書くのが好きなようですね。宇宙人の証明なんて本当はSFチックになってしかるべきなのに、なめ○じをチョイスしたから極めてユニークな怪奇小説になってます(他にもっとあるだろうに……)。そういったうまく期待を外してくるセンスが好きです。
対称的に四十四年後の証明は正統派SFでかかって来てますけど、ロマンチックな雰囲気を出している珍しい作品だと思います。
シドロモドロ。 | URL | 2008年03月08日(Sat)22:33 [EDIT]
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みんな の プロフィール | URL | 2008年03月12日(Wed)04:36 [EDIT]
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